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a)260mm試験エンジン
燃焼に必要な空気量を確保するため、目標出力時(出力率309,545PS/シリンダ)に空気過剰率を2以上とするために必要な給気圧力について解析を行った。
この結果、従来の吸気弁閉時期では3kgf/cm2以上の給気圧力が必要であり、吸気弁閉時期を下死点前まで早めた(早閉じ)ミラーサイクルを使用した場合では、更に高い4kgf/cm2以上の給気圧力が必要となることがわかった。(図5、6)
また、吸気弁閉タイミングを早閉じ側に変更した場合、同じ給気圧力で比較すると、燃焼最高圧力は低くなることが確認された。(図6、7)
吸排気弁のリフト量を大きく、開弁期間を短くしたカムにおいて、吸気弁開閉時期および給気圧力が機関性能に及ぼす影響について解析した。
この結果、それぞれの吸気弁開閉時期に対し、給気圧を上げると空気過剰率、燃焼最高圧力は上昇し、排気温度が低下するとともに燃料消費率がよくなる傾向が見られた。(図7)

 

ミラーサイクルが十分な性能を発揮するのは、給気圧力が上昇する高負荷時であり、低負荷時では空気量が不足し、性能が悪化することが予想される。また、始動性に問題が生じることも考えられるので、低負荷時の対策についても検討を行う必要がある。
このため、低負荷時と高負荷時に吸気弁の開閉時期を切換えることができるように、吸気弁用のアームタペットの位置を可変とした可変バルブタイミング機構を開発し適用した。(図8)

 

b)320mm試験エンジン
ミラーサイクルを適用する場合、給気圧力が高い程、燃焼最高圧力や排気温度の低減効果が大きいことがわかった。

 

このため、目標出力(出力率390,1,045PS/シリンダ)を達成するためには、高過給化が必須であり、今回の開発で想定される給気圧4〜6kgf/cm2の範囲で、燃焼最高圧力が180kgf/cm2程度となる条件について解析を行った。

 

 

 

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